「炊いたん」とは? 意味と煮物との違い、京都・関西の呼び名5選

「炊いたん」という言葉は、京都・関西の人でも、今はふだんの会話で口にすることはあまりありません。それでも、お店の品書きなどで書かれているのを見たり、「どういう意味?」と聞かれたりすれば、すぐに分かる。そんな言葉です。「炊いたん(たいたん)」とは、関西の言葉で「炊いたもの」、つまり出汁で味を含ませた煮物のことです。

後半では、京都で惣菜をつくる私たちが商品名にこの言葉を選んだ理由と、関西らしい食べ物の呼び名も紹介します。

 

炊いたんとは?意味は「炊いたもの」、関西の煮物の呼び方

炊いたんの意味と語源

「炊いたん」は、「炊いたもの」をくだけて言った関西の言葉です。「〇〇の炊いたん」と言えば、〇〇を出汁と調味料で煮て、味を含ませたおかずを指します。

関西では「炊いたもの」を「炊いたの」と言います。この「の」が話し言葉の中で「ん」に変わったとされています。「揚げもん」「そうなん」のように、関西には「もの」「の」が「ん」になる言い回しがたくさんあります。

夕方の台所で「今日のおかず何?」と聞かれて、「大根の炊いたん」と答える。関西の家庭では、毎日の会話で使われてきた言葉です。

「炊いたん」という料理はある?食材名を前に付ける話し言葉

「炊いたん」という名前の、決まった料理があるわけではありません。「〇〇煮」のような名前のない家庭のおかずを、主役の食材で呼び分けるための言葉です。

「お揚げさんの炊いたん」「かぼちゃの炊いたん」「にしんとなすの炊いたん」。京都のおばんざい屋さんの黒板には、こうした名前が並ぶことがあります。「〇〇の炊いたん」の〇〇には、その煮物の主役になる食材の名前が入ります。

私たちはもともと、京都で出汁のうどん・そばやチルド惣菜をつくってきた卸メーカーです。

京都だけの言葉?炊いたんが使われてきた地域と今

「炊いたん」は、京ことば(京都で使われてきた言葉)として紹介されることの多い言葉です。ただ実際には、京都や大阪をはじめ、関西地方で広く使われてきた言い方です。

京都のおばんざい(京都でふだんのおかずを指す言葉)屋さんの品書きでよく見かけるので、京都の言葉という印象が強いのだと思います。

関西で暮らす私たちの実感では、今は京都でも大阪でも、日常用語として「炊いたん」を使うことはあまりなありません。若い世代では、使わない人がほとんどだと思います。

 

炊いたんと煮物の違いは?「炊く」と「煮る」を比べてみる

「炊く」と「煮る」の違いを表で比較

標準語の「煮物」と炊いたんは、ほぼ同じ料理を指します。一般的によく挙げられる違いは、煮汁の量と仕上がりの考え方です。

炊く(炊いたん) 煮る(煮物)
煮汁の量 具材がひたひたに浸かる程度 たっぷりの煮汁で煮る場合も含む
仕上がりのイメージ 具材の中まで出汁の味を含ませる 汁気の多いものから少ないものまで幅広い
料理の例 大根の炊いたん、お揚げさんの炊いたん 筑前煮、肉じゃが

※表の内容は一般的な説明をまとめたものです

この境目は家庭や地域によって異なり、同じ料理を「炊く」と言う家もあれば「煮る」と言う家もあります。

鍋に大根を並べて、煮汁がちょうどかぶるくらいに張る。そこから弱火で味を含ませていくのが、炊いたんらしい炊き方です。

関西で「炊いたん」と呼ばれてきたのは、ひたひたの煮汁で具材に出汁の味を含ませた煮物です。

関西で「炊く」と言う食材の例

関西では、ご飯以外の食材にも「炊く」を使います。大根やお芋さん、高野豆腐、ひじきのような乾物もそうです。

野菜だけでなく、鯖やにしんなどの魚にも「炊く」を使うのが関西らしいところです。当店の「高野豆腐のたいたん」「鯖のたいたん」も、そうした関西で「炊く」食材を主役にした商品です。

 

炊いたんだけじゃない、関西の食べ物の呼び名5選

お揚げさん・おかゆさん…食べ物に「さん」を付ける呼び方

関西では、身近な食べ物に「さん」を付けて呼ぶことがあります。

  1. お揚げさん:油揚げのこと。「お揚げさんの炊いたん」は、炊いたんの中でも定番のおかずです。
  2. お芋さん:さつまいもや里芋などのお芋のこと。
  3. お豆さん:煮豆のこと。
  4. おかゆさん:お粥のこと。お粥も鍋で「炊く」ものなので、「おかゆさん炊こか」と言います。ご飯、お粥、煮物と、関西では「炊く」の守備範囲がかなり広いことがよく分かる言葉です。
  5. おいなりさん:いなりずしのこと。お弁当や行楽の席でもよく聞く呼び方です。

関西でいう「千切り大根」は切り干し大根のこと

関西地方では、切り干し大根を「千切り大根」と呼ぶことがあります。「千切り」だけではキャベツの千切りなどと区別がつかないので、「大根」まで付けて呼びます。

関東の家族に「千切り大根、炊いといて」と頼むと、生の大根を千切りにして待っていてくれるかもしれません。当店の「千切り大根のたいたん」は、切り干し大根を使ったたいたんです。

千切り大根のたいたんは、1袋から注文できます。

千切り大根のたいたんを見る

 

つくり手が商品名を「〇〇のたいたん」にした理由

なぜひらがなの「たいたん」なのか

当店の商品名は「高野豆腐のたいたん」「鯖のたいたん」のように、ひらがなで書いています。パッケージを手に取ったときに、やわらかい印象になるようにと考えたためです。

商品名のひらがなの「たいたん」も、漢字の「炊いたん」も、意味は同じ「炊いたもの」です。

鍋で炊かずにつくる「たいたん」と一番出汁

名前は「たいたん」ですが、当店の工場では鍋で炊かず、真空調理でつくっています。具材と出汁を袋に詰めて密封し、圧力をかけながら加熱して殺菌します。この方法を加圧加熱殺菌(レトルト殺菌)といいます。

出汁は、利尻昆布と国産節からひいた一番出汁(昆布と節から最初にひいた、香りがいちばん高い出汁)だけを使っています。出汁のうどん・そばをつくってきたメーカーとして、袋を開けたときに出汁の香りが立つよう、レトルト特有のにおいをおさえる工夫もしています。

常温で保存できるのは、袋に密封したあと、レトルト殺菌をしているためです。

味つけは関西風で、出汁の旨みを生かしたやさしい味わいを目指しています。味の感じ方には好みがあります。

仕事で遅くなった日の一品に。6品の「たいたん」

夜8時に帰宅して、主菜は買ってきた。でも、もう一品ほしい。そんなときは、袋のまま電子レンジで温めるだけで、たいたんが一品加わります。

  • 高野豆腐のたいたん:こうや豆腐を、人参と乾しいたけと一緒に仕上げました。
  • 鯖のたいたん:鯖に生姜を合わせたたいたんです。
  • 柚子大根のたいたん:大根と油揚げに、刻んだゆずを合わせました。
  • ひじきと五目のたいたん:ひじきと5種の具材をやさしく炊き上げました。
  • 千切り大根のたいたん:一番出汁の旨みをたっぷり含ませました。
  • たけのこのたいたん:たけのことお揚げを一緒に炊き上げました。
商品名 温め時間(500W・目安) ラベルの原料原産地等の表示
高野豆腐のたいたん 30秒 こうや豆腐(国内製造)
鯖のたいたん 30秒 鯖(韓国産)
柚子大根のたいたん 30秒 大根(国産)
ひじきと五目のたいたん 20秒 出汁(国内製造)
千切り大根のたいたん 20秒 大根(国産)
たけのこのたいたん 30秒 たけのこ(中国産)

購入前に知っておいてほしいこと

  • 量:どれも1袋1食分です。家族で食べるなら、人数分を用意してください。
  • アレルゲン:高野豆腐・鯖・柚子大根・千切り大根・たけのこのたいたんは、原材料に小麦・大豆・さばを含みます。出汁にさば節を使っているので、鯖以外の商品にもさばが入っています。工場では卵・乳成分・そば・えび・かにも扱っています。ひじきと五目のたいたんは、原材料に小麦・卵・ごま・さば・大豆を含み、工場では乳成分・そば・えび・かにも扱っています。
  • 保存:直射日光と高温多湿を避けて、常温で保存できます。冷蔵・冷凍は不要で、賞味期限は製造日から365日。

温め方

袋のまま、あけ口を少し開けます。あけ口が上を向くようにレンジ対応の容器にのせ、500Wで表の時間を目安に温めてください。湯せんでも温められます。

あけ口を開けずに電子レンジで加熱すると、袋が破裂する恐れがあります。必ず少し開けてから温めてください。

買い方

当店のサイトでは、好きな商品を1品ずつ選んで買えます(Amazonではセット販売のみです)。

送料は全国一律750円(税込)で、10,000円以上のご注文で送料無料になります。離島は一律3,000円で、送料無料の対象外です。

【高野豆腐のたいたん】
【鯖のたいたん】
【柚子大根のたいたん】
【ひじきと五目のたいたん】
【千切り大根のたいたん】
【たけのこのたいたん】

 

炊いたんのよくある質問

Q1. 「たいたん」と「炊いたん」、どっちの書き方が正しいの?
どちらも同じ言葉で、意味は「炊いたもの」です。一般には漢字の「炊いたん」をよく見かけ、当店の商品名はひらがなで書いています(理由は「なぜひらがなの『たいたん』なのか」で紹介しています)。

Q2. 炊いたんって、標準語だと何て言う?
いちばん近いのは「煮物」です。中まで味を含ませたことを伝えたいなら、「煮含め」と言うとニュアンスが近くなります。

Q3. 炊いたんは京都の郷土料理なの?
特定の一品を指す名前ではなく、京都のおばんざいによく出てくる、関西の料理の呼び方です。

Q4. 開けなければ冷蔵庫に入れなくても大丈夫?
当店の「たいたん」なら、冷蔵庫に入れなくて大丈夫です。直射日光と高温多湿を避けて、常温で保存してください。賞味期限は製造日から365日で、お届けの時点で残り330日以上あります。週末にまとめて買った分も、食品棚にそのまま置いておけます。

 

まとめ:炊いたんの意味を知ったら、食べ比べから

「炊いたん」は、関西の家庭で使われてきた「炊いたもの」という意味の言葉です。

当店のおすすめは「おばんざい12品目セット」です。この記事で紹介した6品のたいたんがすべて入っていて、角煮と大根や和風おろしハンバーグ醤油バター風味などの主菜も一緒に届きます。いろいろな炊いたんを、一度に食べ比べられるセットです。

もちろん、まずは気になる2〜3品から試していただくのもいいと思います。最初の1品は、ふだん食べ慣れている食材から選ぶと、味の好みを比べやすくなります。大根の煮物が好きなら柚子大根、魚のおかずが好きなら鯖、という選び方です。

12品をまとめて味わうか、気になる2〜3品から始めるか、ご自分に合う買い方で選んでみてください。

この記事で紹介した6品のたいたんが入ったセット

おばんざい12品目セットの商品を並べた写真

おばんざい12品目セット

6品のたいたんに、角煮と大根や和風おろしハンバーグ醤油バター風味などの主菜も入っています。

12品目セットを見る

1品ずつ試すなら:単品商品を見る →

お口に合わなかった場合も、到着後14日以内にご連絡いただければ、残っている商品を着払いで返品できます。

著者 : 井奥夏生 | 株式会社俵たん 公式オンラインショップ店長

京都市の食品メーカー・株式会社俵たんで、常温惣菜「京のおばんざい」の販売責任者を務めています。関西出身・在住。3児の母。これまでに飲食店での販売と、京都の菓子販売店の店長を経験。自宅でも俵たんの惣菜を食卓で活用。京都で食べものを売る立場と、家で食べる立場の両方から、惣菜のことや、関西のふだんの食べ方をお伝えします。(編集協力:俵たん コラム編集部)